第1回 あなたの歯科医院は大丈夫?
間違いだらけの院内パソコン環境
公開日: 2017年5月18日木曜日
連載にあたって
皆さまはじめまして! アクセスの森一弘と申します。
大学卒業後、6年間の中学校教師生活を経て転職し、現在、パソコンの総合メンテナンスの会社を創業してから約20年となりました。ここ8年間ほど、歯科医院のシステムに関わらせていただいています。
本コラムでは、歯科医院のネットワークを安心・安全に運用していく方法を、「過剰すぎず、少なすぎないバランスの良い投資」をテーマに、
- ハード面
- ソフト面
- 人的な面
に細分化して、全6回にわけてご紹介していきたいと思います。
どれも、「院長の負担が増えるようなご提案」ではなく、「アウトソーシングも含め、どのように分業しながら実現していくか」のご提案です。
連載第1回目は、自己紹介も含め、歯科医院ならではのパソコン環境についてお伝えいたします。
全国を歩いて驚いた! あまりにずさんなパソコン環境
筆者は、全国各地で数多くの院内パソコン環境を診てきました。正直なところ、かなり「ずさん」な管理が多いことに驚いています。
たとえば……
- 院内のネットワーク全体を明確に把握している人がいない
- ネットワーク内のパソコン全部がウィルスに感染している
などなどです。
筆者は既存の環境に新たなシステムを導入することが多いのですが、最初は全体を把握したり、ウィルス駆除をしたりで時間を費やすことも多々ありました。
なぜこんなことが起きるのか?
なぜこのような事態が起こるのでしょうか?
歯科医院の多くは小規模で、10~20名ぐらいの人員で構成されています。
基本的に院長はプレーイングマネージャーであり、本業以外に多岐にわたる業務をこなさねばなりません。
ましてやコンピュータのプロではありませんから、院長が院内のパソコン環境すべてを永続的に把握し、詳細を理解することは、ほぼ不可能に近いといってよいでしょう。
だからといって、院内で別の責任者に任せたとしても、歯科医院は基本、女性中心の職場。
家庭的な事情などで、責任者が歯科医院を離れることもしばしばです。
他にも、レセコンやエックス線装置などを任せていたシステム業者の担当者が転勤や退職でいなくなったなどという状況も多々あるようです。
これまで診てきた歯科医院のほとんどがこういった状況におかれ、いつの間にか「ずさん」な管理状況に進んでいます。
複数のシステムが動いていることに原因がある!
今や、院内のパソコン環境は「ネットワーク化」が当たり前。その上で、レセコンやデジタルエックス線装置などをはじめ、複数のシステムが稼働しています。
個々のセキュリティやトラブル対応は基本的に各歯科専用システムメーカーが担当してくれますが、他社のシステムについては担当外です。しかし、ほとんどの歯科医院で2つ以上の異なるシステムが存在していることを考えると、これは大変厄介な状態といえます。
さらに、今日では電子メールでのやりとりやインターネットを使っての情報収集も当たり前となっていますが、この部分も、先に述べた歯科専用システムメーカーとは別の管轄です。
これら複数のシステムが院内に存在し、それぞれに違った責任下で運用されていることが、院内のネットワーク環境全体の把握をさらに難しくしているのです。
ほどよく安心・安全に運用する方法を知ろう
院内システムには患者さんの個人情報が存在しています。
各システムメーカーが個々に安全管理を充実させていても、そのシステムを使う側のスキルや意識にばらつきがあるようでは、安全は確保されません。
ハード面とソフト面での管理に加え、それを使う側の統一の意識やルールがあってこそ、院内ネットワークの安全が保たれるのです。
これを実現するには、それらを統括する総合的な管理と把握が不可欠です。
大企業と違い、歯科医院の場合には、予算的にも人員的にも、そして時間的にもできる投資は限られてきます。
また、その総合的な管理や把握が、今の多忙な院長職の中でどこまでできるのでしょうか? 課題は尽きないことでしょう。
でもご安心下さい! 本コラムが皆さんのお手伝いを致します!
次回からは、
- 【ハード面】具体的な推薦機器の価格や性能
- 【ソフト面】ウィルスソフトをはじめとして院内で使う可能性があるソフト
- 【人的な面①】スタッフが院内のパソコンを使う時の注意点
- 【人的な面②】院内ネットワークの書面一元化の提案(マニュアルや院内図面、設定などの記録簿作成)
- 【人的な面③】医師や税理士などのように「かかりつけネットワーク管理者」専任の提案
について、それぞれ具体的に解説いたします。
本コラムが、皆さんの院内ネットワークの環境改善に役立てば幸いです。
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